先日ふと思い立ち、『暮しの手帖』創刊号を図書館で読んできました。
発行は1948年、つまり戦後3年なのでまだ復興中、日本中が食糧難に苦しんでいた時代です。
ひと癖ある花森安治のファンションに関するエッセイ。
戦前の自身のパリ留学経験から暮らしのヒントを授ける一方で、妻/母としての形式主義に囚われず人間として成長し、自身の責任で生活を楽しくしていこうと日本女性を鼓舞する小森杏奴(森鴎外の次女)。
そんな読み応えのある文章が続く中で一番心に残ったのは、編集者による「あとがき」でした。
そこには、徹夜をしながらでもこの雑誌作りが楽しかったこと。
雑誌を売るために自分達がしたくないことはしなかったこと。
編集者達の強い信念が感じられます。
そして最後にある、「お互いに生きてゆくのが命がけの明け暮れがつずいています」との一文は当時の差し迫った状況が伺い知れ、戦争や飢餓を体験していない世代の私でも"本当に"生きることが大変だったのだろう、と胸にジンとくるものがありました。
また、読者に自身の暮しの記録を編集局へ送るよう依頼する理由として「ひとが、どんなに生きたかを知ることは、どれほど力づけられ、はげまされるか知れない」とする一文も、辛い状況でもお互いに励まし合いながらより良く生きていこうとする思いを感じました。
このようなコンテンツに触れると自ずと内省してしまいますよね^^;
コロナ前と比べれば、「生きるていることは当たり前ではない」と考えるようにはなりましたが、つい日常に紛れると忘れがち。
1日1日を大切にして自分の暮らしを精一杯生きよう。
そんなことを思い出させてくれる雑誌でした。