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"最近は人間が死ぬということを忘れているのではないか"
"「私はね、自分で食べるものを自分で作りたい。自分で料理する生活がしたいから、ひとりで暮らしたい」"
「平松洋子」の名前を目にしたため読み始めたのですが、冒頭の一節で興味を惹かれ、著者の高齢の母親の言葉に共感を覚え、その9ページにわたるエッセイを一気に立ち読みしてしまいました。
読み終わりの頃には本屋さんなのに涙が溢れ、この本を買うことに決めました。
エッセイ集にしてはやや高かったですが、それだけの価値がある1本だと思いました。
週に1、2回する本屋パトロールで目に留まったその本。
料理に関するエッセイのアンソロジー。
好きなものでも関わりが過ぎると食傷気味になるように、最近の私にとってこのジャンルはそれでした。
帯を見ても知っている著者は半分以下。
それでも平松洋子さんの名前を見ると興味が湧き、本を手に取りました。
彼女のご両親の晩年を食事の視点で綴る文章のタイトルは「乾きかけのトゲ」。
「食べることは生きること」「生きることは食べること」。
ありきたりなその観念は、二人の実在する人物の暮らしを通してみると改めてその尊さに胸打たれ、単純な私は自分の暮らしを振り返るに至るのでした。
少し表現が変わりますが、私はどちらかというと「生きるために食べる」派( vs.「食べるために生きる」派)で、食べることを左脳で捉えがちなので、平松さんのこのエッセイは私を食べることへ寄り添う気持ちにさせてくれた気がします。
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他にクスッとできるエッセイ(春日武彦さん)も収録されており感情の波が動き忙しかったです笑