大好きな料理研究家、いや、今や思想家と言っても良い気がしますが、土井善晴さんがNHKクローズアップ現代で特集されていました。
彼の著書やPodcastを通じて土井論に様々触れてきましたが、クロ現では「ええかげん」がテーマでした。
「ええかげん」の元であろう「いい加減/適当」は「大雑把な」というネガティブな意味で使われることが多いものの、本来は「ちょうど良い頃合い」というポジティブな意味も持つ言葉ですが、土井さんはそれを「自分で考えて、自分でええかげん(=心地良いと感じるところ)を見つけて、自分で選択する」ことと説きます。
番組ではこの説を「料理」に落とし込み、ナス田楽を作る中で説明しますが、どれくらい油を引くか、火の強さはどれくらいか、どのくらいの時間焼くか、、、レシピに慣れている我々はやってみる前に答えを求めがちですが、土井さんによると「自分でやってみて、ナスの変化を五感を頼りに伺えば、自ずとやることはわかる」と。
それこそ「ええかげん」を発揮して料理をやろう、と。
レシピに縛られない、自由さだったり、臨機応変さがそこにはあります。
初めは失敗するかもしれないけれど、何度もやっていくうちに、わかってくる・できるようになるのです。

私はこの説は「人間としての生き方」にも通ずるのではと感じます。
人生を「ええかげん」で生きているのか、と。
それは自分で考えて、選び取ったもの?
その選択は地位・年収・多数勢力=世間の軸に依拠し過ぎていない?
そして何より一番、その選択にあなた自身が心から心地良い・楽しいと感じている?
などなど・・・
「ナス」から「人生」への解釈の飛躍はカンガルーもびっくりかもしれませんが、とても大事なことを問うていると思います。
人間は食べなくては生きていけません。
「食べる」とは本来「料理をすること」に含まれているはずですから(最近は自炊派が減っているのは残念なことです)、「料理」と「人が生きていくこと、つまり人生」の関係はかなり密接だと思うのです。
だから料理での「ええかげん」論を生き方にもあてはめて考えるのはしっくり感じます。
私は会社員を辞める時、それはまだ土井さんをよく知らない頃でしたが、今振り返ってみると、「ええかげん」を自問していたんだな、と思います。そして、あの時の自分の「ええかげん」を見つけたのだなぁ、とも。
でも、時間が経てば状況も自分自身も変わってくるので「ええかげん」のアップデートをしつつ、人生を自分軸で生きる心地良さ・楽しさを謳歌できるようにこれからも精進しようと思わせてくれる特集でした。
NHKプラスで期間限定ですが見逃し配信しているそうなので、ご興味あれば是非!^^