
慶應義塾大学図書館の旧館に『ある一家の近代と戦争』展を見に行きましたが、実際には常設展の方がスペースが広く、創設者の福澤諭吉にまつわる資料が沢山展示してありました。
福澤諭吉といえば、図書館司書の勉強をしてきた人であれば必ず知っていると言って良いかと思いますが、日本の近代図書館の設立に大きく影響を及ぼした人物です。
私は司書資格を保有しているのになぜ今まで思いつかなかったのか謎でしたが、良い機会だと思い諭吉先生の功績を辿るべく、常設展にもお邪魔しました^^

ちなみに、こちらの旧館は展示室へと続く階段の踊り場にあるステンドグラスが見所です。
当初のものは戦争で全焼しましたが、その後1974年に復元されたようです。
少しわかりづらいですが、下中央部分にラテン語で「Calamus Gladio Fortior」と書かれており、これは「ペンは剣よりも強し」という意味で、あの有名な慶應義塾の精神を刻んでいます。

比較的現代に近い時代を生きた人のためか、展示している資料が豊富でした。
その中から良かったものを3つご紹介したいと思います。
1つ目はこちら。臼と杵。

なんとこれは彼のいわゆる「筋トレ」のお供だったそう。
幼少期からこの臼と杵で精米をするのが彼の仕事だったらしく、これが身体鍛錬のためにもなるとして30年くらいは健康維持のために使ってきたそう。豪快ですよね^^
お次はこちら。お上(明治政府)の依頼を病弱を理由に断る願書。

あんな臼と杵で体を鍛えていた人が「病弱」って・・・笑
これは33歳の頃ですね。色々理由はあったのでしょうが、なんだか小学生みたいなやり方で思わず笑ってしまいました。
最後はこちら。学者の功績を祝う式典なのに、招待状に伊藤博文(政治家)の名前が学者よりも先に来ていることに腹を立て、自分の名前を消して式典不参加の意思を示したもの。

学問を政治よりも重んじた諭吉先生らしいエピソードですね。
この時56歳。年を重ねたからか?仮病の願書よりもやり方がストレート!
特にこの10年前、伊藤博文に憲法制定で主導権を握られた確執があるので余程腹が立ったのでしょうか。自分の信念を通す、外聞など気にしない様子が見てとれます。
このように過去の偉人のことは成し遂げた業績よりもその「人柄」があらわれるエピソードについ関心が向いてしまいます。
今回は大豊作でした^^
信念を持ち、自由に、そしてユーモアを持ちつつ豪快に人生を歩んだ諭吉先生。
苦労はあったでしょうが、きっと楽しかっただろうなと思います。
私もそのように生きていきたいと思うのでした。