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"僕がこの文章で書きたかったことのひとつは、戦争というものが一人の人間、ごく当たり前の名もなき市民だ、の生き方や精神をどれほど大きく変えてしまえるかということだ。"
タイトルからは想像できないけれど、1冊を通して「反戦」が基本的なテーマとして流れているという村上さんにしては珍しい作品でした。
従軍経験があった彼の父親(="ごく当たり前の名もなき市民")から直接聞いた話、父の死後に村上さんが調べた戦争に翻弄された父の人生。
親子でありながらも価値観の違い、生きる時代・環境の違い、そしてお互いが譲らない性格だったというために関係は疎遠だったそうですが、戦争という巨大な力に逆らえない時代に青春を過ごした父への配慮が感じられ、でも努めてフラットなトーンで語る村上さんが印象的でした。

彼の性格からしてこのようにプライベートな話を書くのは余程のことです。
でも、それほどまでに戦争という大きな痛みをともなった事実を引き継いでいかなければいけないという使命感があったのでしょう(実際、本の中にそのような表現があります)。
私の両親も戦後生まれ、しかも物心ついた時には日本が経済成長爆進中の時代。
当然ですが私も戦争を知らない。
でも、母が従軍経験のある母の父(私にとって祖父)から伝え聞いた話を私にちょこちょこしてくれていましたし、祖父が存命の頃に里帰りで親戚が集まった時、戦死した祖父の弟さんを偲ぶ会のような催しをしていたことは私は幼かったですが覚えています。
あぁ、ここにも村上さんが言うところの「名もなき市民による歴史の引き継ぎ」があったのだなぁと思い返しました。
そして、今祖父と話せたらどんなにいいかとも思いました。
残念ながらそれは叶わないけれど、これからも積極的に戦争遺産を訪れたり、本などから戦争にまつわることを学び、自分なりの引き継ぎの糧にしていきたいです。