東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「トワイライト、新版画-小林清親から川瀬巴水まで」を鑑賞してきました。

実は小林清親という名前は初耳だったのですが、昔行った浮世絵展で王道の浮世絵とはかなり違う作品があったことを記憶しており、今回の展覧会パンフで彼の絵を見てその記憶が繋がりました。
「あ、これなら見に行きたい!」って。
彼は「最後の浮世絵師」と言われたように、明治時代に活躍した絵師です。
この頃西洋から伝わった写真技術の影響により「光と影」や「遠近法」を取り入れたことで従来の浮世絵とは明らかに異なる画風が確立されました。


従来の浮世絵は平面的で原色づかいや単調なものが多いのが私の印象でした。
でも彼のは立体的、そしてダークトーンでグラデーションがかった色調がモダンで現代でも通用するおしゃれな感じがします。
まさに浮世絵界の文明開化や〜!だったことでしょう^^
西洋文化が入り、江戸の時代から急速に街の風景が変わる様子が高揚感と少しの寂寥感とで描き上げたと思われる作品がとても印象的でした。
鉄道やガス灯、人力車などの文明開化の産物達。
一方で、江戸時代を代表する事柄、火事や花火。
新しい画風で新旧モチーフをうまくミックスさせる自由さは唯一無二ではないでしょうか。
彼の弟子の井上安治も同系統で良い感じです。
銀座の商店や鹿鳴館など、清親と同じく東京の街を描いたものが多かったです。


小林清親は経歴も興味深い。
というのも、元々は武士の家の生まれで戊辰戦争の鳥羽・伏見の戦いに従事、そして明治時代の武士廃止後に絵師になったというのです。
ちょうど今朝ドラ『風、薫る』で元武士が農民や商人に変わった様子が描かれていますが、彼もその流れは同じで、でも選んだのが絵師という芸術領域、しかも成功している(元武士の転職は当時なかなか実を結ばなかったようです)。
これもなかなか唯一無二的なエピソードですよね。
江戸から明治という時代の大きな変化の中で自由に自分の才能を発揮した絵師。
彼の作品を花のお江戸・東京で、しかも明治感溢れる建築の美術館で見ることができ、大変充足しました。